Low Cell ChIP Optimization Module

少量のサンプルからChIPに最適化

 

Low Cell Optimization Moduleの概要

少量の限られたサンプル用いてChIP-Seqを行う場合、貴重なサンプルをロスなく保持することが重要です。アクティブ・モティフのLow Cell Optimization Moduleは、Low Cell ChIP Kitのユーザが実験の進行過程におけるサンプルの保持状況をモニターすることを可能にします。この製品は、ポジティブコントロール検体および抗体、ならびにソニケーション処理およびChIP濃縮後のクロマチン量と品質を調べるための試薬を含みます。この製品を使用することにより、研究者はChIP-Seq全過程に渡って少量のサンプルをモニターすることができます。このため、サンプル損失の原因となるステップを特定することにより実験を最適化できるため、貴重なChIP-Seqデータを生成可能なサンプルのみを使用することにより時間とコストを節約できます。

 

Low Cell Optimization Moduleの特徴

  • ポジティブコントロール検体および抗体は、ユーザーが貴重なサンプルを無駄にすることなく作業工程を最適化することを可能にします。
  • 実験全体を通してクロマチンの量と質を評価することができるため、問題の起きているステップを迅速に特定することができます。
  • 必要な場合にのみ最適化を行えるようにするため、Low Cell ChIP Kitとは別売りとなっています。
ChIP-Seq Data from Positive Control Jurkat Cells

ChIP-Seq Data from Positive Control Jurkat cells

ChIP-Seq全過程に渡る少量インプットのクロマチンを検証

この製品は、貴重なサンプルを使用する前に実験手順を最適化するため、あるいはサンプル損失の原因となる手技の問題点を解決するために、Low Cell ChIP Kitと合わせて使用することを目的としています。Low Cell ChIP Kitは、多量に存在するヒストン修飾および少量しか存在しない転写因子タンパク質の両方に用いられるよう設計されています。Illumina®プラットフォームと互換性のある複雑性の高いシーケンシングライブラリーを作製するために、Next Gen DNA LibraryおよびNext Gen DNA Indexingの試薬も含まれています。

ワークフローの最適化において貴重なサンプルを無駄にしない

本商品にはLow Cell ChIP Kitの最適化を行うために、ポジティブコントロール検体(Jurkat細胞ペレット)と抗体(AbFlex® H3K9ac)が含まれます。これにより、少量のインプットや貴重なサンプルを使用する前に、ユーザーがワークフローの条件を最適化することを可能にします。これらのポジティブコントロールは、各社から市販されている他の少量細胞ChIP-Seqキットにも提供されておらず、ご自身が扱っている試料を用いたプロトコールの最適化やトラブルシューティングを行うことに対するフラストレーションを軽減します。

 

Low Cell Optimization Moduleの内容

Low Cell Optimization Moduleはドライアイスと共に出荷されますが、パッケージ内には複数の保管温度の試薬が含まれています。すべての内容品は、最初に使用する前に-20°Cで保管することができますが、下に示す温度で保管することをお勧めします。すべての試薬は適切に保管した場合、受け取り日から6か月間保証いたします。各モジュールには下記の内容が含まれます。

  • Fixed Jurkat Cell Pellet (チューブ6本) : -80°C保存
  • RNase A : -20°C保存
  • DNA Standard AM1 : -20°C保存
  • DNA Standard AM2 : -20°C保存
  • DNA Standard AM3 : -20°C保存
  • Human Pos Control Primer Set, GAPDH-2 : -20°C保存
  • Human Neg Control Primer Set 1 : -20°C保存
  • Carrier : -20°C保存
  • Human Positive Control Primer Set, ACTB-2 : -20°C保存
  • AbFlex® Histone H3K9ac Antibody : -20°C保存
 

Low Cell Optimization Moduleのデータ

ChIP-Seq全過程に渡る少量インプットのサンプルを検証

Low Cell ChIP Kitを用いることにより、研究者は対象となる細胞数を減らすことが可能となり、より限られた数からなる細胞集団においてタンパク質-DNA相互作用の複雑さに対する理解を深めることができます。このアッセイは、限られたサンプル量や培養しにくい細胞株、または小さな組織生検を用いる場合に最適です。ChIP-Seqにおける一連の手順を通して、限られたサンプルを最大限に保持することは重要です。このため、アクティブ・モティフはこのワークフローの中間ステップ(クロマチン調製およびChIP濃縮後)においてサンプルを検証する製品を開発しました(下記のDay 1およびDay 4の紫色のステップをご参照ください)。

Low Cell Optimization Module Protocol

Figure 1: Low Cell Optimization Moduleは、Low Cell ChIP Kit (Cat. No. 53084)の使用時に最適化とトラブルシューティングを可能にします。このモジュールはインプットのDNAとクロマチンの品質(Day 1)および濃縮したDNAとクロマチンの品質(Day 4)を確認するための試薬の他に、スタンダード用試薬と抗体を含みます。

クロマチン調製後にサンプル量を決定

Low Cell ChIP Kitで用いられるサンプルの多くは、DNA定量に広く使われる機器(例:Qubit)の検出限界以下です。このため、アクティブ・モティフはクロマチン調製の後、qPCRをベースとしたサンプル量の検証を推奨します。これにより、実験を進めるのに十分なサンプルを保持していることを確認します。

DNA Quantification Following Low Cell ChIP-Seq Chromatin Preparation

Figure 2: クロマチンの調製後、Low Cell Optimization Moduleを使いqPCRベースのサンプル定量を行うことが可能です。DNAスタンダードとGAPDH-2プライマーはJurkat細胞ペレット(Jurkat細胞100,000個に相当 ) のDNA解析に使われます。

クロマチン調製後にサンプルの破砕状態を解析

正確なサンプルの破砕は高品質なChIP-Seqデータを得るために必要不可欠です。Low Cell Optimization ModuleはNGSライブラリー調製後(4日目)ではなく、クロマチン調製後(1日目)にサンプルの破砕状態を検証することを可能にします。早期に破砕状態を検証することは、濃縮やライブラリー構築に時間と試薬を無駄にすることなく、ユーザーがサンプルのソニケーション効率を最適化することを可能にします。

DNA Fragmentation Following Low Cell ChIP-Seq Chromatin Preparation

Figure 3: Low Cell Optimization ModuleとFragment Analyzerを用いて可溶化クロマチンを分析しました。高分子量のピークはこの時点で一般に見られますが、ChIP濃縮やシーケンスデータには影響を与えません。

ChIP後にサンプル濃縮の確認

サンプルの特異的で良好な抗体濃縮を確実にするために、アクティブ・モティフは、ポジティブおよびネガティブコントロール領域を標的として増幅するプライマーを用いてfold-enrichmentの特徴付けをすることを推奨します。Low Cell Optimization Moduleに含まれるプライマーはH3K9ac抗体用となりますので、他の抗体を用いる際は、アクティブ・モティフのChIP Control qPCR Primer Setsから、目的に合ったプライマーをお選びください。

Sample Enrichment Following Low Cell ChIP

Figure 4: Low Cell Optimization Moduleとポジティブおよびネガティブコントロール部位のプライマーを用いて、Jurkat細胞ペレットサンプルから得た濃縮クロマチンの解析を行いました。ACTB-2およびHum Negプライマーは、H3K9ac濃縮に特異的です。これらのプライマーおよび抗体は、ポジティブコントロールJurkat細胞ペレットと共に、Low Cell Optimization Moduleに含まれます。ここに示すデータは30サンプルから得られたものです:平均fold enrichment = 28倍; p=5.66x10-5

ポジティブコントロールからChIP-Seqのピークを可視化

ユーザーが貴重なサンプルを使用する前に、Low Cell ChIP Kitを熟知してトラブルシューティングすることを可能にするために、Low Cell Optimization Moduleにはポジティブコントロール(Jurkat細胞ペレット、 H3K9ac抗体およびコントロールプライマーセット)が含まれます。クロマチンの質および量の検査後、ポジティブコントロールサンプルをシーケンスして、期待どおりにChIP-Seqのピークが表示されることが確認できます。

ChIP-Seq Peaks from Positive Control Samples in the Low Cell Optimization Module

Figure 5: 固定したJurkat細胞ペレット(100,000細胞)の濃縮クロマチンをLow Cell ChIP KitとLow Cell Optimization Moduleを用いて解析しました(上側4つのトラック、緑線)。ここでは17番染色体の一部が示されています。*を付けた4番目のJurkatは、qPCRによる解析と同様にポジティブコントロール部分に対して顕著に低いfold-enrichmentを示しました。結果として、このサンプルではわずかに崩れたピークが観察されました。比較のため、GM12878細胞のH3K9ac濃縮による結果も示されています(青線)。青線の最上段は公開されている2x106個の細胞から得られたENCODEのデータで、その下段にあるトラックはそれぞれ10,000個、5,000個、1,000個の細胞を用いた時のピークを示します。

 

Low Cell Optimization Moduleの資料

 


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