CUT&Tag-IT® R-loop受託解析サービスの概要
CUT&Tag-IT® R-loop 受託解析サービスでは、DNA-RNAハイブリッドを検出するユニークで特異的な抗体を用いて、R-loop領域をゲノムワイドにマッピングします。ヒストン修飾をマッピングするCUT&Tag-IT®受託解析サービスと同様に、R-loopと一次抗体の複合体に二次抗体を適用後、protein A-Tn5トランスポゼース (pA-Tn5) を導入します。これによりR-loop構造近傍のゲノムは特異的にタグメンテーションされ、NGSライブラリーが得らます。これをシーケンスして最終的な解析を行います。
R-loopとは?
R-loopは、1本鎖のRNAがDNAの2重らせんに侵入した3本鎖の核酸構造をとります。RNAが相補的なDNA鎖とハイブリッドを形成するため、非鋳型DNA鎖は対を形成せずに残った状態です。R-loopという用語は、この構造がDNA Displacement loop (D-loop) に類似していることから命名され、R-loopの”R”はRNAを意味しています。このようなR-loop構造は、転写開始時や、IgGクラススイッチ、ミトコンドリアDNA複製の際に形成され、テロメアでもR-loop構造が確認されています。一方で、R-loopの異常形成は、DNA損傷、複製フォークの停滞、DNA修復の障害、ゲノムの不安定性などと関連しています。転写プログラムが異常に活性化したがん細胞では、転写と複製の競合が起こり、異常なR-loop形成の可能性が高まります。
R-loop解析がバイオマーカー研究やエピジェネティクス研究をどのようにサポートできるか:
バイオマーカーとしてのR-loop
- BRCA1とBRCA2は、転写開始や終結部位に形成されるR-loopの除去を促す
- DNA損傷応答キナーゼであるATRは、R-loop形成と相関する可能性がある
- ATR阻害に感受性のある細胞におけるR-loop形成の増加
- BRCA欠損細胞において合成致死となるPARP阻害は、正常細胞や過剰にR-loopが蓄積された細胞でも致死性を示す
- 過剰なRループの蓄積が観察されるがんでは、PARPやATRの阻害剤について研究が進められている
R-loopとエピジェネティクス
- DNMT1はRNAとハイブリッドを形成したDNAとの親和性が低いため、活性化プロモータにおけるR-loop形成は、DNAメチル化を妨げる
- R-loopは、TET1による5-mCから5-hmCへの変換を増強するGADD45A (R-loopの"reader”としても機能する)をリクルートする
- R-loopがPRC2/EZH2複合体をリクルートし、H3K27のトリメチル化を促す(H3K27me3の生成)
- R-loopの異常制御がEZH2駆動性のがんに関与している可能性がある
Reference:
Crossley et al. 2019, Molecular Cell
Garcia-Muse and Aguilera, 2019, Cell
Wells et al. 2019, Trends in Cancer
Santos-Pereira and Aguilera, 2015, Nature Reviews Genetics
CUT&Tag-IT® R-loop 受託解析サービスのデータ
CUT&Tag-IT® R-loop 受託解析サービスの資料
CUT&Tag-IT® R-loop Service Sample Submissionポータル
オンラインSample Submissionポータルは、解析したいサンプルの情報をアクティブ・モティフの担当者と共有し、依頼者には解析の進捗をご覧いただけるサイトです。 解析を依頼するために必要な連絡先、サンプルの情報、また解析の内容を記載していただきます。記載の方法や、サンプル提出方法について、ご不明な点がありましたら「[email protected]」までご連絡ください。
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