Low Cell ChIP Overview
アクティブ・モティフのLow Cell ChIP Kitは、少ない細胞数や少量の組織生検から、クロマチン調製と免疫沈降に必要な試薬をセットにしたキットです。他のChIPキットとの違いについてはChIPキット選択ガイドをご覧ください。
このキットは、細胞中に多量に存在するヒストン修飾だけでなく、存在量の少ない転写因子タンパク質にも適用できます。ChIP-Seqは、ヒストン修飾や転写因子とゲノムDNAの結合状態をゲノムワイドに解析する手法ですが、従来一回の免疫沈降反応ごとに数百万個の細胞を必要としました。Low Cell ChIP Kitは、サンプルの必要量を低減させられるだけでなく、少量の細胞を用いたChIPでしばしば起こるS/N比の低下という問題も解決できます。
Related Products:
- DNA Library Prep Kit for Illumina®: Dual Index NGS Kit for ChIP-Seq, CUT&RUN, and ds methylated DNA assays
Low Cell ChIP Kitの特長
- わずか1000個の細胞からヒストン修飾や転写因子を再現性よくChIPすることが可能
- ブロッキング試薬と最適化されたプロトコルによりS/N比を改善し、より良好なピークコールと低バックグラウンドを実現
- 回収されるChIP DNA断片は二本鎖であり、ナノグラム以下のDNA量に対応した市販のDNAライブラリー調製キットが使用可能
Low Cell ChIP Kitには、16回のChIP反応に必要な試薬が含まれています。キットに含まれるChIP Buffer、Blocker、Protein G Agarose Beadsなどの一部の構成品は、個別に購入いただけます。
Low Cell ChIP Kitの利用は初めてですか?
Low Cell Optimization Moduleを使って、確実に成功させましょう!
Low Cell ChIP Optimization Moduleには、Low Cell ChIP Kitの重要な各ステップの成否をモニターできるよう、コントロールサンプルと抗体が含まれています。これらのコントロールを使って、貴重なサンプルを使用する前に実験を最適化することができます。また、このOptimization Moduleにより、少量の細胞を用いたChIPアッセイにおいて最良の結果を得るために重要となる、調製したクロマチンの品質を評価することが可能です。
Low Cell ChIP Kitの構成品と保管温度
Low Cell ChIP Kitsはドライアイス同梱にて出荷されますが、キットには様々な保存温度の試薬が含まれます。すべての構成品は未開封の状態で-20℃に保存可能ですが、開封後は構成品ごとに下記の温度で保存することをお勧めします。全ての試薬等は、適切に保存された場合、受領日から6ヶ月間保証します。Protein G Agarose beadsは、溶解後に再凍結しないでください。各キットには下記の構成品が含まれます。
Reagents for Low Cell ChIP Kit
- 10X PBS; Store at -20°C
- Proteinase K (10 µg/µl); Store at -20°C
- Blocker; Store at -20°C
- Blocking Reagent AM1; Store at -20°C
- BSA; Store at -20°C
- 100 mM PMSF; Store at -20°C
- Protease Inhibitor Cocktail (PIC); Store at -20°C
- Carrier; Store at -20°C
- Fixation Buffer; Store at 4°C
- Protein G Agarose beads; Store at 4°C
- TE, pH 8.0; Store at RT
- 5 M NaCl; Store at RT
- Stop Solution; Store at RT
- ChIP Filtration Columns; Store at RT
- ChIP Buffer; Store at RT
- Wash Buffer AM1; Store at RT
- Elution Buffer AM4; Store at RT
- LiCl Buffer; Store at RT
- 1.7 ml siliconized tubes; Store at RT
Low Cell ChIP Kitを用いたデータ
Low Cell Numberとは?
Low Cell ChIP Kitを使用することで、従来は難しいとされていた少数の細胞サンプルを用いてChIPアッセイを行うことができます。本キットは、量の限られた培養細胞株や組織生検といったサンプルを扱う場合に最適です。
下記の推奨細胞数リストは、1回のクロマチン調製に使用する細胞数です。そのままクロマチンサンプル全量を1回の免疫沈降反応に使用します。これは、大量の細胞からクロマチンを調製し、希釈して免疫沈降するときの1回分とは異なります。ここで示す細胞数から調製したクロマチンは1回の免疫沈降反応に利用できます。
表1:Low Cell ChIP Kitを使用する際の最小推奨細胞数。これらの数は、標的タンパク質の存在量と抗体の親和性に基づいています。
推奨細胞数に影響を与えるその他の要因には、細胞の種類、標的タンパク質の存在量、ChIP抗体の品質が挙げられます。以下は、Low Cell ChIP Kitに使用できるアクティブ・モティフの検証済み抗体の一例です。
Protein Target | Active Motif Catalog Number | Cell Type Tested |
---|---|---|
H3K4me3 | 39159 | MDA-MB-468; GM12878 |
H3K9ac | 39918 | GM12878 |
H3K9me3 | 39161 | GM12878 |
H3K27ac | 39133 | HepG2 |
H3K27me3 | 39155 | MDA-MB-468 |
CTCF | 61311 | MDA-MB-468 |
BRD4 | 91301 | MDA-MB-468 |
表2. Low Cell ChIP Kitで検証されたアクティブ・モティフの抗体。
アクティブ・モティフのLow Cell ChIP Kitを用いて得たデータの例。10,000個のMDA-MB-468細胞に対して抗BRD4 (bromodomain-containing 4) 抗体を、5,000個のGM12878細胞に対して抗ヒストンH3K27ac抗体または抗ヒストンH3K27me3抗体を、それぞれ用いてChIP-Seqを行った。免疫沈降後、イルミナ対応シーケンスライブラリーを調製し、NextSeq 500を用いてシーケンスした。その結果、活性性および抑制性ヒストン修飾に対してはわずか5,000個程度、BRD4に対しては10,000個程度の細胞から高品質なChIP-Seqのピークが得られた。各ピークを2000万個の細胞を用いたENCODEデータセットと比較した。
図1:Low Cell ChIP Kitを用いたBRD4、H3K27ac、H3K27me3のピークをENCODEデータセットと比較した例
存在量の多い標的タンパク質と少ないものをLow Cell ChIP Kitを用いて解析したデータ。ヒストン修飾のH3K4me3、H3K4me1、H3K27me3については、わずか1,000個の細胞からバックグラウンドを超える良好なピークが観察された。活性性と抑制性の両方のヒストン修飾が示されており、このキットが抑制性クロマチンを対象とする場合でも良好なChIP-Seqのシグナルを得るのに十分な感度を有することを示している。BRD4やインシュレータータンパク質であるCTCFなどの低存在量タンパク質についても、わずか10,000個の細胞から良好なChIP濃縮が可能であることがを示された。結果は1回のLow Cell ChIP Kitの反応によるものだが、複数の実験で再現性のあるデータが得られている。
図2:ヒストンおよび低存在量の様々な標的タンパク質に対してLow Cell ChIP Kitを用いた実験例
Low Cell ChIP Kitの技術資料
こちらもご参照ください
Name | Format | Cat No. | 価格 (税抜) | |
---|---|---|---|---|
Low Cell ChIP Kit | 16 rxns | 53086 | ¥148,000 | Buy |
ChIP Buffer | 50 ml | 37516 | ¥24,000 | Buy |
Blocking Reagent AM1 | 0.1 ml | 37496 | ¥24,000 | Buy |
BSA (10 mg/ml) | 0.1 ml | 37497 | ¥24,000 | Buy |
Blocker | 0.1 ml | 37498 | ¥24,000 | Buy |
Protein G Agarose Beads | 1.2 ml | 37499 | ¥36,000 | Buy |
TE, pH 8.0 | 35 ml | 37515 | ¥24,000 | Buy |