<< Back to MOTIFvations Blog Home Page

SARS-CoV-2の感染を阻害するリコンビナント中和抗体の開発に関する論文公開

Recombinant Antibodies Paper Summary
 

July 21, 2020

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の世界的大流行は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2 (SARS-CoV-2)と呼ばれる新型コロナウイルスが原因です。COVID-19は世界に広がり、治療法やワクチンの開発が進められています。

診断ツールおよびワクチンと同様に、治療法の開発には、再現性高く、なおかつ大量に製造可能な高品質の抗体を必要です。感染を中和する抗体は受動免疫に利用できます。これは、患者が感染した後に、自身の体内で抗体が産生されることを必要とぜず、ウイルスを認識する抗体を体外で作製して投与することにより、病気の重症度を低下または制圧して治療できることを意味します。また、高品質な抗体は、診断においてSARS-CoV-2の検出に用いたり、ウイルス感染により患者の体内で抗SARS-CoV-2抗体が産生されたかどうかを調べる際のコントロールとして利用したりすることも可能です。

復旦大学とActive Motif Chinaの研究者で構成された研究チームは最近、Cell Reports誌においてSARS-CoV-2スパイクタンパク質S1とその受容体結合ドメイン(RBD)を認識する抗体に関する論文を発表しました。この論文では、単一細胞クローニング技術により11人のCOVID-19患者からメモリーB細胞を単離したことおよび729種類のヒト免疫グロブリン(Ig)を取得したことついて述べられています。これらの内、17種類の抗体はS1やRBDに対し強力な結合能を有し、8種類はSARS-CoV-2の感染を効果的に中和することが示されました。これらの抗体は顕著にSARS-CoV-2を中和し、最も強力な抗体においては1.75 nMのIC50を示し、SARS-CoV-2に対する治療薬となる可能性が示唆されました。

抗体はCOVID-19大流行の解決策るか?

COVID-19の大流行は、高い致死率、都市の強制的な封鎖あるいは現在進行中の経済的危機など、すでに、世界中に大災害級の悪影響をもたらしています。多くの国々で一時的な収束が見られてはいますが、アメリカをはじめとする国々では今なお公衆衛生上の問題となっており、世界的な都市封鎖の解除が感染の第二波となることが懸念されています。

それでは私達は、この繰り返す大流行からどのように『日常』を取り戻せるのでしょうか?すでに都市封鎖が解除された国々において、異なる解決法が試されています。

改善されたCOVID-19検査は感染拡大スピードを減速する

COVID-19をうまくコントロールできている国々では、感染者を可能な限り見つけ出すために大規模な検査プログラムが行われています。これにより、疫学者や公衆衛生担当者は、SARS-CoV-2が広範囲に拡大する前に感染の可能性のあるクラスターを割り出して隔離施設を設置することができます。

SARS-CoV-2感染は、3種類の検査により検出することができます:qPCR法を用いたウイルスゲノムの検出法、ELISAのような技術を用いた免疫反応により生じた抗ウイルス抗体の検出法、あるいは抗体を用いたウイルスタンパク質の検出法です。各検査法には、それぞれ長所と短所があるため、もし検査を受けようと考えているならば、より詳しい情報を得るために医療提供者とよく相談することがベストです。

COVID-19治療への投資

COVID-19の治療法や治療法の探索には多くの予算が投入されており、既存の治療法を検証するために様々な臨床試験(DisCoVeRy, RECOVERY)が開始されていますが、これまでのところ成功していません。

回復期血漿と呼ばれるCOVID-19から回復した人の血漿を用いた患者の治療は、患者の健康状態に良好な結果を示し、ウイルス量も減少させました。しかし、回復期血漿は限られた量しか入手できません。このため、大量生産が可能なリコンビナント中和抗体の開発は、血漿療法に代わる優れた治療法となり得ます。

最も期待されるCOVID-19ワクチンの開発は時間を要する

ワクチンの開発は最優先です。優れたワクチンは、新たな感染症の予防(予防型ワクチンと呼ばれます)だけでなく、すでにウイルスに感染している患者の治療にも使用できます(治療型ワクチンと呼ばれます)。

成功するワクチンの開発は重要ですが、それには長い時間がかかり、この世界的流行を終わらせるのに間に合うようにワクチンが開発される保証はありません。

したがって、SARS-CoV-2感染症を治療するためのリコンビナント中和抗体の開発は、現在、COVID-19との戦いにおいて最も費用対効果が高く、迅速で有望な解決策であると思われます。

SARS-CoV-2感染を阻害するヒト型リコンビナント抗体の特徴

復旦大学とActive Motif Chinaなどのメンバーで構成された研究チームがCell Reports誌に最近発表した論文では、SARS-CoV-2の感染性を中和するリコンビナント抗体の開発と特徴について報告されており、それらは優れた治療薬の候補に挙げられています。著者らは、COVID-19から回復した11人から得た血液を評価し、それらの中からCOVID-19に対する抗体を産生するメモリーB細胞を単離しました。その最終目的はSARS-CoV-2に対する中和抗体を同定し、それらを製造することです。

抗体は、アクティブ・モティフ独自のAbEpic™テクノロジーを用いて分離・精製されました。抹消血球細胞(PBMC)の単離後、B細胞特異的なマーカーおよびHisタグ付きS1タンパク質をベイトとして選別することにより、RBDおよびS1に特異的に結合する単一抗原特異的なメモリーB細胞を単離しました。その後、重鎖および軽鎖の遺伝子を増幅してクローニングし、シーケンスを確認して特徴を調べました。このようにしてクローニングしたヒトモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をHEK293E細胞に強制発現し、プロテインAを用いて精製しました。こうして11人の患者から729組の抗体遺伝子ペアが得られました。

これらの抗体のうち178種類は、ELISA法においてRBDおよびS1タンパク質に特異的な結合を示し、一部の抗体はnM以下のEC50を示しました。しかしながら、抗体による抗原の認識と結合は必ずしもウイルスの中和に十分ではありません。そこで著者らは、偽型ウイルスおよび真性ウイルスを用いた感染アッセイにより抗体の中和特性を調べました。まず、ACE2受容体 (SARS-CoV-2の細胞侵入に必要な受容体)を発現しているHEK293T細胞に偽型ウイルスを投与して感染性を調べたところ、12種類の抗体がこの感染を中和したことに加え、50 nMのACE2を同時に投与するとその結合を拮抗阻害しました。最も力価の高い抗体(クローン414-1)は、RBDに対して高い親和性を持ち、偽型ウイルスの中和アッセイにおいて3 nMのIC50を示しました。

次に、偽型ウイルスを中和できた抗体が、実際の新型コロナウイルスを用いた中和アッセイにおいても中和するかどうかについて、ACE2を発現しているVero-E6細胞を用いて調べました。その結果、クローン414-1抗体は、1.75 nMのIC50でウイルスの侵入を阻害しました。それ以外の抗体も中和活性を示し、真性のSARS-CoV-2を10 nM以下のIC50で阻害することを報告しています。さらに、偽型ウイルスを用いた中和アッセイにおいて、クローン414-1抗体とクローン553-15抗体を組み合わせたとき、そのIC50は0.67 nMに低下しました。

これらの結果は、ヒト型リコンビナント抗体クローン414-1がSARS-CoV-2の感染力を顕著に中和することを示しており、強力な治療薬候補となりうることを意味しています。さらに著者らは、クローン414-1および553-15の組み合わせが中和能力を有意に増強することを示唆しています。

概要:リコンビナント抗体を用いたCOVID-19の研究、診断、および治療の発展

COVID-19は病気を引き起こす新型のコロナウイルスとして発見されてから、わずか数ヶ月で世界的な大流行となりました。未知のウイルスを同定して特徴づけ、そのウイルスがどのようにして細胞に侵入するかを明らかにするために、SARS-CoV-2およびCOVID-19に関する研究プロジェクトが急速に進展しました。これにより、どのようなメカニズムを潜在的な治療法あるいはワクチンの標的とすることができるかが明らかになるでしょう。

復旦大学とActive Motif Chinaおよびその共同研究者で構成される研究チームは、SARS-CoV-2を認識し、中和するヒト抗体を単離して特徴づけることができました。彼らが開発したほとんどの抗体は、他のコロナウイルスと交差反応性を示さないため、この高いウイルス特異性により理想的な治療薬候補となっています。

これらの抗体は、SARS-CoV-2を構成するS1タンパク質のRBDに対して高い親和性と特異性を示します。したがって、これらの抗体は、ウイルスの感染組織やその他の生物学的サンプルに対して鋭敏なので、診断を目的として発展させることができます。

単独の抗体でもウイルスの侵入を阻止できますが、これらの中和能力は他の抗体との組み合わせにより増強されました。

このような完全ヒト型リコンビナント中和抗体は、SARS-CoV-2感染に直接影響をおよぼすウイルス侵入を標的とした治療法の開発に使用されるでしょう。臨床の現場でこのようなタイプの抗体を使用するためには、in vivo実験および治験などさらなる検証が必要ですが、総合すると、これらのデータはCOVID-19治療の可能性を強く期待させるとともに、この大流行の終息に希望を与えます。

Let’s Work Together to Fight COVID-19

Active Motif’s SARS-CoV-2 recombinant antibodies and recombinant proteins are now available to the research community and can be developed further for use in diagnostic applications or therapeutic approaches. We are looking for partners and collaborators to help take these next steps. Contact us to discuss how we can work together or to request a quote for a bulk order.


We’d love to hear from you! Please contact us at blog@activemotif.com or on Twitter (@activemotif) to share your thoughts and feedback! We’re also looking for science writers to contribute to MOTIFvations, so if you’re an established science communicator or just want to get started, please reach out – there might be a story we can collaborate on!

<< Back to MOTIFvations Blog Home Page