DNAメチル化 リソースセンター

はじめに

DNAメチル化は、約100年前に細菌で発見されて以来、ほぼすべての生物において、遺伝子発現とゲノム構造における重要なエピジェネティック制御因子であることが示されています。真核生物では、このDNAの修飾はシトシン(C)に見られ、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)がシトシンへのメチル基の転移を媒介し、5-メチルシトシン(5-mC)へと変換します。この小さなDNA修飾により、一次配列そのものを変えることなく、DNAの活性を変化させることができます。

DNAのメチル化の多くは、CpGジヌクレオチドに限定して現れます。これらのジヌクレオチドは、哺乳類ゲノムでは比較的まれで、おもにCpGアイランドと呼ばれる500-2,000塩基対の領域にまとまって存在しています。ヒトでは、CpGアイランドの60%以上が遺伝子プロモーター領域に存在しています。通常、ほとんどのCpGジヌクレオチドはメチル化されていますが、逆にプロモーター領域内のものは、ほとんどメチル化されておらず、転写活性のある遺伝子と関連しています。プロモーター領域のDNAメチル化は、ゲノムインプリンティング、X染色体の不活性化、transposable element(可動遺伝子)の抑制など、いくつかの基本的なプロセスに関連しています。さらにDNAメチル化パターンの異常な変化は、老化だけでなく、多くの病気と関連していることがわかってきました。

DNAのメチル化は可逆的です。Ten-Eleven Translocation(TET)methylcytosine dioxygenaseファミリーは、DNA脱メチル化のの中心的な役割をしています。これらの酵素は5-mCを5-hmCに変換し、さらに作用させると、5-hmCから5-ホルミルシトシン(5-fC)、さらに5-カルボキシシトシン(5-caC)への変換を触媒することができます。5-fCと5-caCは、塩基除去修復機構によってDNA配列から取り除かれ、メチル化されていないシトシンに置き換わることができます。5-hmCは当初、脱メチル化の途中にある一過的な状態であると考えられていましたが、その後、Tetファミリーのタンパク質と5-hmCが、実際には正常な発生機構と多くの疾患状態に関与しているという証拠が示されてきています。例えば、5-hmCは哺乳類における脳内の様々な領域で高レベルに存在しています。

多くの科学者がDNAメチル化の分布について研究を行っており、5-mCと5-hmCをマッピングする多くの方法が報告されています。その選択肢の多さに圧倒され、何から手をつければいいのかわからなくなることもあります。しかし、DNAメチル化の解析方法には多くのアプローチがありますので、それぞれの方法における利点と欠点を理解し、実験の目標とリソースに基づいて、このサイトにある資料などを参考にして最適な方法を選択してみてください。

ウェビナー

eBooks

ブログ

Podcasts

学術ポスター

使用論文

弊社の製品を使ったDNAメチル化関連の論文検索はこちら