TIP-ChIP受託解析サービス

ハイスループットかつ少量サンプルからの多サンプルChIP-Seq解析

 

TIP-ChIP受託解析サービスの概要

TIP-ChIP Service
 

TIP-ChIP (Tagmented, Indexed, and Pooled ChIP-Seq) は、96反応分のChIP-Seqサンプルを迅速に処理するために開発された次世代ChIP技術です。TIP-ChIPは、解析に必要な細胞数を減らし、スループットを向上させ、サンプル間のばらつきを最小限に抑えるよう設計されています。その結果、処理時間の短縮、サンプル間での一貫性の向上、そして大幅なコスト削減を可能にします。

TIP-ChIPは、クロマチンのタグメンテーション反応 (tagmentation) を行うことから始まり、ゲノム全体にわたって、DNAを断片化しながらシーケンス用アダプターを挿入します。この工程は96ウェルフォーマットで行い、その後、各サンプルは1つのウェルにプールされ、PIXUL®マルチサンプルソニケーターによりタグメンテーションされたタンパク質/DNA複合体を効率的に放出します。次に、各サンプルを1本のチューブにまとめ、免疫沈降反応 (IP反応) へと移行します。これにより、ChIPプロトコルを途切れることなく継続でき、高品質で信頼性の高い結果を得ることが可能になります。アクティブ・モティフでは、H3K27ac、H3K4me3、H3K4me1、CTCF などを含む複数の検証済み抗体を用いたTIP-ChIP受託解析サービスを提供しています。その他のヒストンマークも取り揃えておりますので、TIP-ChIPの検証済み抗体もご覧ください。

TIP-ChIPのアドバンテージ

  • ChIP-Seqよりも少ない細胞数(1サンプル当たり30万~100万細胞)
  • サンプル間の技術的なばらつきを最小限に抑えることが可能
  • ハイスループットフォーマットにより、バッチ間格差のばらつきも低減

TIP-ChIPとChIP-Seqの比較:

TIP-ChIP and ChIP Comparison Chart

例えば、タイムコースや薬剤応答試験、スクリーニングアッセイなど、複数のサンプルにわたって同じ標的を解析する実験において、TIP-ChIPは従来のChIP法に代わる有力な手段となります。TIP-ChIPの効率的な手法は、すべてのサンプルを1回のChIP反応で処理することでサンプル間のばらつきを最小限に抑え、一貫性と信頼性の高い結果を提供します。これにより、比較解析に最適な手法となっています。

TIP-ChIPは、従来のChIP法で一般的に必要とされる100万〜1,000万個の細胞に対して、わずか30万〜100万個の少ない細胞数で解析が可能という大きなメリットを持ちます。また、タグメンテーション反応により、96ウェルプレートの各ウェルに固有の識別子を付与し、同じヒストンマークを標的とするサンプルをプールした場合でも、PCR工程では1種類のシーケンシングプライマーセットだけで対応できるようになります。これらの特長により、最大96反応のChIPサンプルをわずか数週間で処理するため、研究のタイムラインを大幅に加速させることが可能になります。

TIP-ChIP受託解析サービスの内容:

  1. 固定化後のクロマチン開状態と細胞透過処理
  2. Tn5トランスポソームを用いたタグメンテーションによるライブラリ作製
  3. PIXUL超音波処理
  4. TIP-ChIP検証済み抗体による免疫沈降
  5. PCR増幅
  6. NGS解析
  7. バイオインフォマティクス解析

Watch this video to learn how to prepare cell samples for TIP-ChIP

 

TIP-ChIP受託解析サービスのデータ

クロマチンを開口させた (アンバイアス) タグメンテーション法によるTIP-ChIP Inputの作製

CTn5 transposomes used in tagmentation
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Fig. 1: バイアスあり・なしのタグメンテーションに応じたTn5トランスポソームの比較
A)ATAC-seq (バイアスあり) とB) TIP-ChIP (バイアスなし) におけるTn5タグメンテーションのイメージ図。ATAC-seqでは、Tn5トランスポソームはオープンクロマチンにのみアクセスできるため、シーケンスアダプターはその領域にのみ挿入される。ATAC-seqで得られたゲノムブラウザのトラック (紫色) は、ピークがオープンクロマチン領域にのみ存在することを示している。一方、TIP-ChIPでは細胞を固定した後、タグメンテーション前にクロマチン全体が開かれ (二次構造が緩和され)、その結果、シーケンスアダプターがゲノム全体に偏りなく挿入される。TIP-ChIPのインプットに基づくゲノムブラウザトラック (オレンジ色) は、ゲノム全体にわたって均等にカバレッジされていることを示している。


TIP-ChIPによる複数サンプルの同時解析

Comparison of TIP-ChIP and ChIP-Seq 1​Comparison of TIP-ChIP and ChIP-Seq 2​
(Click images to enlarge)

Fig. 2: TIP-ChIPとChIP-Seqによるエンリッチメントパターンの比較 ​
同一の細胞株において、TIP-ChIPとChIP-Seqは類似したエンリッチメントパターンを示す。TIP-ChIPは、H3K27ac (上段) およびH3K4me3 (下段) に対して、K562細胞由来の12サンプルで実施し、ChIP-SeqのデータはENCODEから取得した。12個のサンプルはそれぞれTn5でバーコーディングし、1つのChIP反応にまとめてプールした後、TIP-ChIPバーコードを用いてバイオインフォマティクス的に分離 (デコンボリューション) した。このデコンボリューション処理により、サンプル間での解像度やデータの質の低下は生じていない。ゲノムブラウザトラックは、まず、12サンプルのシーケンスデータを個別にデマルチプレックスせずにまとめて解析する「擬似バルク解析 (pseudo-bulk) 」によって作成され (赤色のトラック) 、続いて、12サンプルそれぞれをバーコードに基づいてデマルチプレックスして解析する「マルチプレックス解析」により作成した (紫色のトラック)。オレンジ色のトラックは、ENCODEのChIP-Seqデータを用いて作成したゲノムブラウザトラックである。


TIP-ChIPによるPMA処理の有無での好中球のH3K27ac解析

H3K27ac enrichment(Click image to enlarge)

Fig. 3: 特定の遺伝子領域におけるH3K27acの濃縮プロファイル ​
TIP-ChIPを用いて、RPS19、CYTIP、およびRAB7A遺伝子におけるH3K27acの濃縮パターンを示すゲノムブラウザトラックを作成した。紫色のトラックはPMA処理していない好中球、オレンジ色のトラックはPMAで60分間処理した好中球を示している。CYTIPおよびRAB7A遺伝子座では、PMA処理した群間においてH3K27ac濃縮の局所的な変化が観察されたが、ハウスキーピング遺伝子であるRPS19では変化が見られなかった。


TIP-ChIPによる複数サンプルの同時解析

TIP-ChIP with H3K27ac​(Click image to enlarge)

Fig. 4: H3K27ac-TIP-ChIPによるPMA処理前後の好中球の識別について
A) PMA未処理 (T0) または60分間PMA処理 (T1) を行った好中球を用いて得られたH3K27ac TIP-ChIPデータの相関プロット。未処理サンプル (1〜3) は相関プロット上で同じグループにまとまり、処理済みサンプル(4〜6) は別のグループに識別された。
B) PMA未処理(T0)または60分間PMA処理 (T1) を行った好中球を用いたH3K27ac TIP-ChIPデータの主成分分析 (PCA) により、未処理群と処理済み群の明確な分離が示された。

 

 

TIP-ChIP Service FAQs

シーケンス解析時のリード量は?

各TIP-ChIPサンプルは、2×75 bpペアエンドで2,000万リード (20M reads PE75) でシーケンスされます。例えば、12サンプルを1つのChIP反応にプールした場合、包括的なデータカバレッジを得るために、合計で2億4,000万リード (240M reads PE75) でシーケンスされます。

反応ごとに最低限必要なサンプル数は?

TIP-ChIPでは反応ごとに最低8つのサンプルが必要です。タグメンテーションステップの後、これら8つのサンプルはすべて同じターゲット抗体を使った1つのChIP反応にプールされ、効率的でスムーズな処理を行います。

サンプル当たりの最小細胞数は?

最適なパフォーマンスと信頼性の高い結果を得るためには、1サンプルあたり30万〜100万個の細胞が必要です。

TIP-ChIPで最も重要なステップは?

96ウェルプレートでの固定ステップがサンプルロスを防ぐためにも最も重要と考えています。最良の結果を得るために、このページの下部に記載されているサンプル調製プロトコルを必ずご確認のうえ、正確に実施してください。

抗体がTIP-ChIPに適しているかどうかは、どのように判断すればよいですか?

検証済み抗体の一覧はこちらからご覧いただけます。さらに、抗体バリデーションサービスも提供しています。本サービスでは、30万〜100万個の細胞を用いて、1回のTIP-ChIP反応 (1回のタグメンテーション反応) を行い、PE75で3,000万ペアリードのシーケンシングを実施します。最終的にバイオインフォマティクスチームが、抗体の適合性を確認するための包括的な品質評価 (QC) を行い判断いたします。
 

TIP-ChIP受託解析サービスの資料

 

 

 

TIP-ChIP Service Sample Submissionポータル

オンラインSample Submissionポータルは、解析したいサンプルの情報をアクティブ・モティフの担当者と共有し、依頼者には解析の進捗をご覧いただけるサイトです。 解析を依頼するために必要な連絡先、サンプルの情報、また解析の内容を記載していただきます。記載の方法や、サンプル提出方法について、ご不明な点がありましたら「[email protected]」までご連絡ください。

 

こちらもご参照ください

 

References:
1. Ai, S., Xiong, H., Li, C.C. et al. Profiling chromatin states using single-cell itChIP-seq. Nat Cell Biol 21, 1164–1172 (2019). https://doi.org/10.1038/s41556-019-0383-5
2. Atteberry, B., et al., 2024. Front Immunol. 15. 144563

 
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