TransAM®は、哺乳動物組織や細胞抽出物を用いて転写因子のDNA結合活性を測定できる高感度なELISAベースのアッセイです。TransAM Kit (比色法)はゲルシフトアッセイよりも10倍高感度です。また、TransAMを使用すると、ラジオアイソトープ不要で5時間以内に定量的な結果が得られるうえ、ハイスループット実験に対応します。さらに、40種以上の標的転写因子に対し、それぞれのキットを提供しております(右のリストおよび下記のDocumentsタブより製品マニュアル(14ページ)をご参照ください)。各キットは96 wellのストリッププレートを含み、各wellには転写因子ごとに特異的な二本鎖オリゴヌクレオチドが固相化してあります。核抽出物または全細胞抽出物を加えると、対象の活性型転写因子はオリゴヌクレオチドのコンセンサス配列に結合します。その後、キットに含まれる活性型転写因子に特異的な抗体を用いて定量を行います。詳細は下記のTransAM® Methodタブをクリックしてご確認ください。
TransAM® HIF-1転写因子ELISAキット
TransAM® HIF-1 Kitは、ポジティブコントロール抽出物の他、活性型Hypoxia Inducible Factor 1 alpha (HIF-1a)の実験に必要な構成品一式を提供します。このHIF-1キットはヒトとサルのサンプルにおいてHIF-1aを検出します。下記のHIF-1 Infoタブをクリックするとデータおよび、より詳細な情報をご覧いただけます。また、キットのマニュアルは下記のDocumentsタブからダウンロードいただけます。
Name | Format | Cat No. | Price | |
---|---|---|---|---|
TransAM® HIF-1 | 1 x 96 rxns | 47096 | ¥115,000 | Buy |
5 x 96 rxns | 47596 | ¥489,000 | Buy |
TransAM® HIF-1 Manual |
TransAM® Profile |
Gene Regulation Products & Services Brochure |
Tools for Disease Research |
MSDS: Sodium Azide |
MSDS: Sulphuric Acid |
MSDS: Thimersol |
HIF-1転写因子とは
転写因子Hypoxia-Inducible Factor 1 (HIF-1)は酸素ホメオスタシスにおける重要な制御因子の1つです。HIF-1は低酸素状態(hypoxia)に対する生理的応答を調節し、心臓発作やガン、脳卒中あるいは慢性肺疾患の病態に関連することが知られています。HIF-1はHIF-1αとHIF-1βからなるヘテロダイマーのタンパク質です。HIF-1 βが恒常的に発現するのに対し、HIF-1αの発現は酸素濃度が6%以下の時に誘導されます。HIF-1ヘテロダイマーは低酸素応答エレメント(Hypoxia Response Element; HRE)と呼ばれるコンセンサス配列(5’-RCGTG-3’)に結合します。これまでに、血管新生、エネルギー代謝、赤血球造血、細胞増殖と生存率、血管リモデリングおよび血管運動反応に関連するタンパク質をコードする遺伝子など、数十のHIF-1制御遺伝子が同定されています。
図1:HIF-1αの測定
COS-7細胞を0.15 mMのCoCl2投与群と未処置群に分け、それぞれの細胞群からNuclear Extract Kit (Cat. No. 40010)を用いて核を単離しました。HIF-1αはプロテアソームにより分解されることが知られており、その阻害剤であるCoCl2の投与群は未処置群に比べてHIF-1αの存在量が多いと考えられます。実際、これらの核抽出物をTransAM HIF-1 Kitを用いて評価したところ、CoCl2による活性型の増加と、抽出物の量依存性が確認できました。
TransAM®転写因子活性測定ELISAの利点
転写因子研究は歴史的にゲルシフトアッセイやウェスタンブロット、レポータープラスミドのトランスフェクションを用いて行われてきました。しかしいずれの方法も、多大な時間を要してハイスループット実験に不向きなことに加え、半定量的な結果しか得られませんでした。一方、TransAM®アッセイはゲルシフトアッセイに比べて最大で100倍以上も感度が高く、5時間以内で終えることが可能です。また、TransAM®はラジオアイソトープが不要なうえ、Stripwell™の採用により1~96サンプルを幅広いスループットでスクリーニング可能です。さらに、レポータープラスミドのトランスフェクションによる発現のばらつきを回避するために行われきた安定発現細胞株の作製からも解放されます。
なぜTransAM®転写因子活性測定ELISAを使うのか?
- ゲルシフトアッセイよりも最大で100倍高感度
- ラジオアイソトープが不要で簡便に定量可能
- 5時間以内に結果を取得
- 450 nmの分光測定法により簡便に定量解析が可能
- 96-stripwellにより幅広いスループットに対応
TransAM®の概略
TransAM®はコンセンサス配列に対する転写因子の結合を調べるのに最適な実験手法です。TransAM®キットには、コンセンサス結合部位を含むオリゴヌクレオチドが固定された96-stripwellプレートが含まれています。各ウェルに核抽出物を添加すると任意の転写因子がオリゴヌクレオチドと特異的に結合します。その後、目的の転写因子に結合する一次抗体、HRP標識二次抗体、発色試薬を順次加えて反応させ、比色定量により高感度に検出します(図1)。
図1:TransAMの作業手順
核抽出物に含まれる活性化された転写因子が、stripwellプレートに固定されたオリゴヌクレオチドと結合する。一次抗体、二次抗体および発色試薬を順次反応させて活性化された転写因子を比色定量する。
*TransAM®はEATからライセンスを取得しています。本製品は研究目的用にのみ販売しておりますので、他の目的でご使用の場合には、アクティブ・モティフまでご連絡ください。
構成品と保存条件
TransAM HIF-1 Kitには抗HIF-1α一次抗体、HRP結合二次抗体、野生型および変異HIF-1オリゴヌクレオチド、COS-7核抽出物(ポジティブコントロール)、ジチオスレイトール、プロテアーゼ阻害剤カクテル、ニシン精子DNA、Lysis Buffer、Binding Buffer、10X Washing Buffer、10X Antibody Binding Buffer、Developing Solution 、Stop Solution、HIF-1 96-wellプレート(1枚または5枚)およびプレートシーラー(1枚または5枚)が含まれます。各試薬等の保存条件は-80℃から室温まで様々ですので詳細はマニュアルをご参照ください。すべての試薬等は適切に保管された場合、6か月間安定であることを保証します。